TOEがiTOEにリニューアルしました!!
こんにちは、小野です。
今回も、報告があり緊急でブログ記事を書かせていただきました。
我社のEthenet TCP/IP ソリューションがEthenet TCP/IP ソリューションTOEが『iTOE』にリニューアルしました。

おめでとうございます!
これも”i”が頭について、なんだかかっこよくなりました。iGiGEとはまた違うんですよね。
GiGEはイーサネットによる非圧縮画像の高速画像伝送ソリューションです。これはまた違うアプローチで高速通信を実現するIPなんです。そういえば、このブログでTOE改めiTOEを紹介したことはなかったですね。
せっかくなので、教えていただいてもいいでしょうか?ボクも改めてちゃんと勉強したいです。
では、iTOEを紹介していきましょう!しっかりついてきてくださいね。
TCP/IPとは?
まず初めに、iTOEの”T”の部分、TCP/IPから話しましょうか。小野くんは、TCPって知ってますか?
たとえば、仕事上でもよく使うパソコンとプリンターを想像してください。
資料を印刷するとき、パソコン上から印刷ボタンを押してプリンターで印刷しますよね。
この時ネットワーク上で正しくデータのやり取りをするためには、パソコンとプリンターの共通で決められたルールに従って、通信します。
普段意識してないけど、ルールが決められていたんですね。
異なる機器同士での通信が成り立つように利用されているのがTCP/IP(Transmission Control Protcol/Internet Protocol)です。これは世界で標準的に利用されています。
どのような通信をするかに合わせて色々細かいルールが定められています。
たとえば、データを取りこぼしなく確実に送りたいというときがあります。そんな時のやり方がTCP(Transmission Control Protocol)です。送信側と受信側でデータがちゃんとやり取りできているかを逐一確認しているんです。もしデータの欠損のようなエラーなどがあれば受信側から送信側に教えて、データを再送します。
それなら安心ですね。こういうルールでしっかり取り決められているなら世界中で使われているのも納得です。
iTOEとは?
TCP/IPについては、さらに詳しく説明すると長くなるので、勉強しておいてください。
さて、「iTOE™」について説明しましょうか。
TOE(TCP Offload Engine)は、ネットワークカード(NIC)が、TCP/IPのプロトコルの処理をオフロードする技術です。これにより、ホストCPUの負荷を軽減し、全体的なネットワークスループットが向上します。
なるほど!(TOEって足のつま先だと思ってました…)
「iTOE™」はTCP/IPプロトコルの処理をFPGAで行うことができるというものです。データ通信においては速度の安定化が求められます。iTOEによって、データ通信の速度の低下を防ぎ、通信性能を飛躍的に向上させることができます。
OKIアイディエスの得意なFPGAで行うんですね!
でもなんでわざわざFPGAでそのプロトコルの処理をするんですか?
TCP/IPでは、パケットの分割、組立、チェックサムの計算などなど…色々処理が行われているのです。通常はCPUで行われることが多いですが、期待したデータ量や通信速度などが出ないこともあります。
そこで、ちょっとした実験をしてみました。テストデータを装置から装置へ送信受信した際の100Mbpsと1Gbpsのそれぞれの帯域のネットワークの転送レートを測定しました。ここではTCP/IPの処理はCPUで行っています。
そしてFPGAでプロトコル処理を行った場合すなわちiTOEを実装した場合の1Gbpsの帯域のネットワークの転送レートも測定しました。その結果がこちらです。
プロトコル処理と転送レートの比較
帯域 |
100Mbps |
1Gbps |
1Gbps |
通信の方式 |
全二重
(Full Duplex)
|
全二重
(Full Duplex)
|
全二重
(Full Duplex)
|
プロトコル処理 |
CPU |
CPU |
FPGA+iTOE実装 |
通信の方向 |
送信 |
受信 |
送信 |
受信 |
送信 |
受信 |
転送レート(単位:Mbps) |
95 |
95 |
450 |
400 |
918 |
925 |
プロトコル処理をCPUで行うと、100Mbpsのネットワークにおいては、95Mbpsと、規格の速度に近い値を出すことはできました。でも、1Gbpsのネットワークにおいては、400~450Mbpsにとどまりましたね。
ということは、この場合だと1Gbpsで通信するという規格でありながら、実際は半分も性能が出ていなかったということですよね。これじゃ、見掛け倒しですよ!(笑)
そうです、そんな時こそiTOEの出番です!
PCとFPGA搭載のボード間の通信にiTOEで映像データを送受信したところおよそ920Mbpsという転送レートが出ました。
920Mbpsというかなり大きい測定値が出ていますね!これならほぼ1Gbpsと言って良さそうです。
これをiTOEではFPGA 1Chipで実現することができます。しかも、当社ではTCP/IPプロトコルスタックをFPGAに搭載することで、複雑なプロトコル処理全てをFPGAで行うことができるんです!
1Chipでできるんですか?!それなら必要となるデバイスのコストも抑えることができますね!
そして、処理時間を大幅に短縮し、CPUの負荷も軽減することができます。当社のiTOEでは、1Gbpsから100Gbpsまでと、多様な帯域幅をカバーしています
さらにこのたび、ウィンドウスケールを任意に調整できるようになりました!
簡単に言うと、送信、受信できるデータのバッファサイズです。今まではバッファサイズは固定で変更することができませんでした。今回、送信側と受信側それぞれでバッファサイズを変更できるようになりました。
通信相手の条件などに合わせてより柔軟に実装できるようになったということですね!
そうです、より多くのニーズに答えるべく、このたびTOEからiTOEへとリニューアルし、パワーアップを遂げたのです。
iTOEのギモンをズバッと解決!一問一答コーナー
さて大人気企画「質問や疑問に答えていくコーナー」です。
今回はiTOEについてよく聞かれる質問を厳選していくつか答えていきます。
前回のように質問1000本ノックじゃなくてよかったです。
1000本ノックしても読者の方が全部見てくださるとは限らないですからね。
確かに!読みやすいブログを目指していきたいです。
まずはこの質問から。
『iTOEで対応しているFPGAデバイスにはどんなものがあるのでしょうか?』
AMD社製のFPGAに対応しています。たとえばVirtex UltaScale, Zynq UltraScale+ MPSoCなどです。デバイスによって対応可能となるEthernet規格が変わってきます。当社ではお客様が必要とされている性能に合わせて最適なFPGAデバイスを選定してご提案しています。
ぶっちゃけどんなデバイスがどのEthernet規格のiTOEに対応しているんですか?
よく聞かれるんですよね、表にまとめて整理しましたので下記をご覧ください。
AMD デバイス |
Ethernet規格 |
1G/2.5G |
10G/25G |
100G |
Versalシリーズ |
〇 |
〇 |
〇 |
Virtex UltraScale+ |
〇 |
〇 |
〇 |
Kintex UltraScale+ |
〇 |
〇 |
〇 |
Zynq UltraScale+ MPSoC |
〇 |
〇 |
〇 |
Zynq UltraScale+ RFSoC |
〇 |
〇 |
〇 |
Virtex UltraScale |
〇 |
〇 |
〇 |
Kintex Ultrascale |
〇 |
〇 |
|
Artix UltraScale+ |
〇 |
〇 |
|
Zynq-7000 |
〇 |
〇 |
|
Virtex-7 |
〇 |
〇 |
|
Kintex-7 |
〇 |
〇 |
|
Artix-7 |
〇 |
|
|
AMDのデバイスって多いんですが、それに合わせてiTOEもEthernet規格に応じてそれぞれ対応しているんですね。
次の質問にいきます!
『プロジェクト単位、量産ロイヤリティ、期間などのライセンス形態はどうなっているのでしょうか?』
ライセンスとしてはプロジェクトライセンスとデバイスライセンスがございます。量産時にかかるロイヤリティ、使用期間の制限はありません。
次の質問にいきます!
『評価用のライセンスのようなものはありますか?』
評価ライセンスでのご提供もございます。
その場合、お客様がTOEの評価を行う評価ボードや、Vivadoのバージョンについてなど、確認が必要になりますので、まずはお問い合わせいただければと思います。
他にも気になる点や質問があれば是非ご相談ください。iTOEを導入くださったお客様へは、お客様側で利用できる状態になるまでしっかりサポートいたします。問題が起きても1年間のサポート対応を行っています。
安心してご利用いただけます。
ボス、まだまだ質問に答えていきましょうか?
キリもいいですしこれくらいがちょうどいいんじゃないんでしょうか。最後までお付き合いいただきありがとうございました!
(いっぱい答えていくとネタがつきてしまいますからね。大人気企画なので長く続けたいんですよ。)
お知らせ
はい、今回は是非ボクからお知らせさせてください!今度東京ビッグサイトで開催の展示会ものづくりワールドの「ものづくりODM/EMS展」に沖電気株式会社 EMSグループが出展します!
OKIアイディエスもEMSグループの一員として参画します!
去年に引き続きものづくりワールドに出展することになりました。当社の技術だけでなく、OKI-EMSが保有する高度な技術と豊富なノウハウをぎゅっと凝縮しておりますのでまとめてご覧いただくことができます。
OIDSは展示会で様々なものを展示してきましたが、今回も、ものづくりワールドに向けて去年展示したじゃんけんロボットのデモをブラッシュアップしています。開発部の若いメンバーを中心に頑張っています。ボクも頑張ります!
気になる日程は…
6月19日(水)~21日(金)です。
小間番号:東4ホール E32-44です。
詳細は下記をご覧ください。当日は小野さんも行くんですよね?
展示会当日はボクも行きます。ぜひ会いに来てください!
私は残念ながら展示会には行けない予定です。もし私のファンがいたら、教えてください。意外と私のファンは多いですからね。
展示会当日は会場でたくさんの方のご来場をお待ちしております!
もしもボクのボスである岩崎さんのファンだという方がいらっしゃいましたらこっそり教えてくださいね!
次回のブログ更新は7月を予定しています。
お楽しみに!
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