展示会、セミナー情報

展示会出展レポート

「第15回オートモーティブワールド 」への出展報告と来場の御礼

当社は、2023年1月25日~27日に、東京ビッグサイトで開催された 「第15回オートモーティブワールド」に、群馬県ブースより出展いたしました。展示会会期中は寒波の影響から、強風が吹き荒れたり、雪の懸念等もありましたが、開催者による来場者数速報では、3日間で74,193名(同時開催の展示会含む)の方が来場されたということで、賑わいを見せ、熱気もあふれておりました。
ご多忙の中、当社ブースにお立ちよりいただいき、そして説明を聞いてくださった皆様に心より御礼申し上げます。

展示ブースのご紹介

当社は、10月に開催された「CEATEC2022」から「AI搭載機器設計・開発のエキスパート」を掲げておりまして、今回もその旗印のもと、AI関連のデモを中心に展示いたしました。
群馬県ブースからは13社が出展。あみだくじで、ラッキーなことに「コーナー」を引き当てることができましたので、下記写真のように2面を使い、2種類のデモを“リアルタイム”で体感いただきました。

デモの名称(テーマ名)は次の通りです。
(デモ1)AIエッジ向けAMD製「Kria KR260(ロボティクススターターキット)」を活用したAI物体検知および、GigE Vision®による高速画像伝送

(デモ2)AIモデル軽量化技術:PCASxAI処理高速化プラットフォーム:Zebra連携による推論パフォーマンス向上

OKIEMSブースの様子
OKIアイディエス ブースの様子

例の如くテーマ名見ても良くわからないと思いますので、デモ内容についてご案内させていただきます。

デモ1 概要

当社は、各種展示会で、「骨格検出AI」を使い、カメラの前で特定のポーズをとると、同じポーズのキャラクター画像を重畳し、モニターにリアルタイムに表示”するというデモご覧いただき、お客様からいろいろなご意見を頂戴し、「異常検出」系に、ご興味があるお客様が多いと感じました。
そこで、このオートモーティブ向けに、新たなデモを開発しました。
「特定の物体」を検知するデモは、良く見かけます。そこに、「領域を設定」し、その領域内に「特定の物体」を検知したら、〇〇させる。という、異常検出系のシンプルなコンセプトで作ってみました。

テーマ名
AIエッジ向けAMD製「Kria KR260(ロボティクススターターキット)」を活用したAI物体検知

<概要>
”取得した映像”に対し、”特定の領域”を設定。その“領域”内に、“特定の物体”を検知した場合、“対応したキャラクター画像”をリアルタイムに表示”します。今回も、OKIのバーチャルキャラクターである「ツナグちゃん」に登場してもらいました。
「物体検知」には、一般的に使われているAIアルゴリズム「YOLO v4」を使いました。YOLO v4は、80種類の物体を検出できるよう学習されているもので、人間、車などを検出することができます。

<デモの形態>
今回、オートモーティブの展示会ということで、車を絡めた異常検出系のデモを作りたいと考えました。

リアルの状態にしたかったですが、そこは録画したものを使用>Plan A(写真右)

それだけだと、「再生しているだけじゃないの?」と思われるかと思い、やはりリアルの状態も見ていただきたく、USBカメラから映像を入力するリアル版でもできるようにしました>Plan B(写真左)

OKIEMSブースの様子
デモ1 展示の様子

<デモの構成>
下記にデモの構成図を示します。
Plan A
#1 映像取得(SDカードに録画データを保存) ⇒ #2 AI推論(物体検知) ⇒ #3 画像処理(重畳) ⇒ #4 DP(Display Port)経由でモニターに表示 (デモの構成図の青色のルート)

Plan B
#1 映像取得(USBカメラ) ⇒ #2 AI推論(物体検知) ⇒ #3 画像処理(重畳) ⇒ #4 GigE Visionで送信し、モニターに表示 (デモの構成図の緑色のルート)

OKIEMSブースの様子
デモ1 デモ構成

<デモ内容>
Plan A:録画(SDカード保存)
当社が拠点としている高崎のとある交差点の様子を撮影してきました。
車社会の群馬は、かなり車の往来があります。
このシチュエーションにおいて、“特定領域“として、下記を設定(ピンクの線で囲いました)
①横断歩道(2か所)、②信号待ちスペース
この設定した領域内で、「人」、「自転車」を検出したら、対応する「ツナグちゃんの画像」にリアルタイムに切り替えています。
詳しくは、動画をご覧ください。(画像をクリックで、動画をご覧いただけます)

動画の説明:
「横断歩道」に「人」を検知したら、「横断しているよ!」と表示
「信号待ちエリア」に「人」を検知したら、「巻込み注意!」と表示


デモ1 PlanA(録画)

Plan B:リアル(USBカメラ入力)
当日の展示会場です。
PlanAと同様に、 “特定領域“を設定します。シンプルに画面を6分割しました。(ピンクの線で区切っています)
この設定した領域内で、「ボトル」を検出したら、対応する「ツナグちゃんの画像」にリアルタイムに切り替えています。
詳しくは、動画をご覧ください。(画像をクリックで、動画をご覧いただけます)

動画の説明:
「下段左のマス」に「ボトル」を検知⇒「持込禁止!」と表示
「下段中央のマス」に「ボトル」を検知⇒「それおいしいよね!」と表示
上段のマス3ヶ所も、「ボトルを検知」すると、それぞれ表示を変えてます。


デモ1 PlanB(リアル)

<技術のポイント>
上述しました、#1 映像取得 ⇒ #2 AI推論(姿勢推定)⇒ #3 画像処理(重畳)⇒ #4 GigE Visionで高速伝送 の一連の処理を、“Kria K26 SOM(System On Module)に最適に実装し、30FPSのリアルタイム性を実現しました。

FPGA/SoCでアクセラレート。リアルタイム性を実現!

  • 重畳処理(ツナグちゃんを表示)をFPGA/SoCに実装することで、30FPSで処理可能に!
    ⇒C言語ベースで回路設計を行う高位合成(HLS)を使用
    ※ソフトウェア処理では、2FPS程度しか出せません

高位合成を使用し、開発期間を大幅に短縮!

  • 従来のFPGA/SoC開発には、ハードルがありました。
    高位合成のツールが必要、スキルも必要。RTLの理解が必要・・・
    ⇒C言語ベースの高位合成により、設計時間を大幅(約75%)に削減(ソフトウェア技術者によるFPGA/SoC開発を実現)

軽量のGigE Vision Tx(送信)IPを実装!

  • 低リソースのデバイスにも実装可能な、Tx IPの軽量版を保有

ブロック図を参考に掲載します。技術的な詳細は、Techブログでお届けする予定です。

OKIEMSブースの様子

OKIEMSブースの様子

エッジ向けのデバイスで、このようなAI処理ができるイメージをお伝えできればと考えました。
出力の部分、わたしたちが画像処理、高位合成が得意ということで「表示系」で考えましたが、ブザー鳴らしたり、LED光らせたり、お客様のアプリケーション次第で、いろいろなアイディアが出てくると思います。
お客様のほうでも、AIを活用したカメラモニターシステムのイメージの一助になれば幸いです。

デモ2 概要

こちらのデモは、「CEATEC2022」でも展示させていただいたデモになります。
また、22年10月にOKI、仏ミプソロジー、そして当社の3社で共同プレスリリースした注力技術です。

テーマ名
AIモデル軽量化技術:PCAS×AI処理高速化プラットフォーム:Zebra連携による推論パフォーマンス向上

<概要>
USBカメラ(30fps)にてリアルタイム映像を取得し、物体検知を行うAIモデル「YOLOv4」にて推論を実施。認識した物体にバウンディングBOXおよび、その「信用度(※2)」を表示する画像処理を行いました。この物体検知を行うAIモデルを、PCASにて任意の圧縮率で軽量化を行い、ZebraにてFPGA(本デモでは、AMD社のアクセラレータカード ALVEO U50を使用)に実装した状態をデモンストレーションしました。(写真右のモニター)
PCASの圧縮率を変えることによる見た目の差(フレームレート、認識精度)を実感いただくために、比較映像を展示しました。(写真左のモニター)
(※2)信用度:AIの出力結果が物体の検出にどれだけ自信を持っているかの指標

OKIEMSブースの様子
デモ2 展示の様子

4画面を拡大したものと、その内容に関し表に示します。

  1. CPU処理のフレームレート 1(fps)をベースに比較すると、次のような結果となります
  2. ZebraでFPGAに最適実装することにより、14~19(fps)
  3. PCASで認識精度に影響ないレベルで圧縮(低圧縮)し、軽量化。それをZebraでFPGAに最適実装することにより、19~24(fps)
  4. 軽量化優先で圧縮(高圧縮)し、それをZebraでFPGAに最適実装することにより、25~30(fps)

このようにPCASとZebraを活用することにより、パフォーマンスの向上が期待できるのです。

ここで、“軽量化“は、”認識精度”に影響はあります。
影響はあるのですが、お客様の開発したいアプリケーションで、どの程度の認識精度が必要かの見極めが重要と考えます。影響がある=使えない ではなく、上流工程で見極めを行い、仕様に落とし込むことにより、評価ターゲットの絞り込み、開発期間の短縮が期待できると、私たちは考えています。


PCASとZebraの効果比較

1
 C P U 
2
 Zebra 
3
PCASxZebra
4
PCASxZebra
PCAS 未使用 未使用 低圧縮 高圧縮
Zebra 未使用 使用 使用 使用
フレームレート(fps) 1 14~19 19~24 25~30
認識精度影響 なし 若干あり あり

<技術のポイント>
PCAS(Pruning Channels with Attention Statistics)は、OKI独自のAIモデル軽量化技術で、AIモデル(ディープラーニングモデル)に内在する不必要な演算を自動的に削減、AIモデルを軽量化することが特徴です。
Zebra™(※3)は、AMD社のAI処理高速化プラットフォームで、AIプログラムをFPGA/SoCに最適に、自動的に実装することができます。

このPCASとZebraを組み合わせることで、2つの効果が期待できます。

  1. 高速化を実現
    FPGAによる推論速度が、従来と比較し向上します。4倍の効果が見られるポイントもあります。(軽量化優先で圧縮した場合)
  2. 軽量化レベルが選択可能
    お客様のアプリケーションの要求性能に応じ、軽量化レベルの見極めを行えます。

上述もしましたが、軽量化することで、“認識精度”に影響は多少なりともございます。上流工程で見極めを行い、仕様に落とし込むことにより、評価ターゲットの絞り込みができ、結果、トータルの開発期間の短縮が期待できると考えています。
一方、認識精度影響がアプリケーションとして許容できた場合、軽量化の効果はFPGA/SoCのダウンサイジングにも効くと考えられますので、エッジ向けに展開されているFPGA/SoCに高度AIを搭載できる可能性もあると考えています。

わたしたちOKIアイディエスは、FPGA/SoC開発に、PCASとZebraを取り込むことで、お客様の目的に応じ より柔軟に対応できるFPGA設計開発サービス の提供を目指してまいります。一緒に実証活動、検証を行ってくださるパートナー様と有用性を検証して参りたいと思います。ご興味ある方は、是非お声掛けください。

AMDブースにおいても、デモを展示いたしました

2023年1月25日から27日に東京ビッグサイトで開催された「第15回オートモーティブワールド 」AMDブースで、当社のパートナーであるクロアチア Xylon社の『Dynamic Function eXchange (DFX)デモ』を展示しました。
FPGA/SoCを起動したままFPGA内のReconfigurable BlockのFPGAデザインを再構成することにより、動的に機能の切り替えを行う技術です。是非ご覧ください。

最後に・・・

デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれ、わたしたちの生活に大きく関わり始めている「AI」。生産性の向上、効率化、人手不足の解消、そして技術継承など、様々な課題に対し、その解決の手段として期待されています。しかしながら、「AIって何ができるの?」「AIを使って何かをやりたいけど・・」と思われている方が、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
当社OKIアイディエスは、お客様のAIプログラムの高速化・最適化や、エッジデバイスへの搭載、量産に向けたFPGA/SoCへの実装、いわゆる「AI/DLアクセラレーション」が業態の中心ですが、従来の“モノづくり”の商品開発プロセスに、“AIを組み込みたい”というAI開発プロセスを加えた新たな開発プロセスが必要であると感じており、その実現に向け取り組み始めました。

前工程である“AIモデル開発”では、テーマ選定、データ収集、特徴量設計、AIモデル生成、AIモデル評価のプロセスがあり、期待するものが出来上がるまで繰り返す必要があると考えています。このプロセスを理解し、自社はもちろんのこと、OKIグループ、そしてパートナー様と連携することで、お客様のお役に立てるよう取り組んでまいります。

OKIEMSブースの様子

本展示、デモに関するご質問、ご相談ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

OKIEMSブースの様子
ご来場ありがとうございました

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