Arm社「Arm Approved Design Partner」に認定されました
こんにちは、小野です。今回も大事な報告があり、緊急でブログを執筆しております。
今回の発表は、ここ最近の中でもかなりのBIG NEWSです。覚悟してください!
自らハードルを上げましたね、なんだかすごそうだぞ…!
Arm社の「Arm Approved Design Partner」に認定されました!
そうですよ、小野君。ほら、ちゃんと証拠もあります。

ほ、本物ですね!この「Arm Approved Design Partner」について根掘り葉掘り聞かせてください。
Arm社ってどんな会社?
とはいっても、「Arm」って名前は聞いたことはありますが、正直どんな会社なのか詳しくは知らないんです。「ArmベースのCPU」ってよく聞きますよね。どんな会社なんでしょう?
簡単に説明すると、Arm社は半導体“設計専門”の会社です。イギリス・ケンブリッジに本社を構えています。自分たちで半導体をたくさん製造して販売しているんじゃなくて、「CPUやAIプロセッサの設計図」=「アーキテクチャ」を開発して、それを「Armアーキテクチャ」として世界中のメーカーにライセンスしているんです。
なるほど。スマホとか家電の中身の“頭脳”になる部分の土台を、Arm社が手掛けているんですね。
その通り! Arm社は自社工場を持たず、設計と技術に特化している半導体IP企業です。省電力・高性能が大きな強みで、今や世界のスマホの99%以上がArmベース。他にもIoT機器や自動車、サーバー、今話題のAI・自動運転分野まで、Armの技術が使われているんですよ。
まさに、日常に欠かせないテクノロジーの“縁の下の力持ち”ですね。ところで、Arm社っていつごろからある会社なんですか?
Armは1990年にイギリスで生まれて以来、常に最先端のプロセッサ設計をリードしてきた企業です。省電力や高効率を追求してきた歴史は長く、今ではIoT機器や自動車、スマートフォン、さらにはスーパーコンピューター、そして話題の最新ゲーム機にもArmの技術が使われています。
あのゲーム機にも?!販売の抽選がなかなか当たらないんですよね…。それはさておき、Arm社って技術革新を重ねてきた歴史があるんですね。ますます注目される会社だとわかりました!
Arm社の「Arm Approved Design Partner」とは?
Arm社がどんな企業なのかはわかりましたが、今回「Arm Approved Design Partner」に認定されたOKIアイディエスは、具体的には何をするんですか?
よくぞ聞いてくれました。まず、「Arm Approved Design Partner」とは、世界中でもArmが公式認定した、Arm IP(設計資産)を使ったLSIやSoC開発のエキスパート企業のことです。限られた企業だけ認定される、いわば信頼の証であると思ってください。
最近は、AI向け半導体のニーズが急増していますし、自動車だってどんどんIoT化が進んでますよね。まさに歴史的な変革期を迎えているように感じます。
その通りです。特に注目されているのがASIC(Application Specific Integrated Circuit)、つまり目的に合わせてカスタマイズされた特定用途向け半導体です。AIや車載、IoTなど、用途ごとに最適な回路が求められるため、ASICの開発はますます加速しているのです。
なるほど。用途ごとに“オーダーメイドの半導体”のニーズが増えているわけですね。もしかして、OKIアイディエスはASICの開発も行うんですか?
Exactly!そこで、「Arm Approved Design Partner」に認定された当社は、長年培ってきたFPGA設計の技術を駆使して、Arm搭載ASIC/LSI開発の前段階となる「FPGAプロトタイピング」に取り組みます!
え?確かに、OKIアイディエスはAMDのプレミアパートナーでもありますけど…。それってASIC開発に役立つんですか?
AMDは世界トップクラスのFPGA/SoCメーカーですよ。私たちは、その最先端のFPGA技術やツールにもいち早くアクセスでき、活用できます!
それを最大限活かして、Armの最新IP、テクノロジーを合わせたFPGAプロトタイプの構築および検証を一緒に推進します。そして、お客様のASIC開発プロセスの効率化や開発期間の短縮に貢献します!
「FPGAプロトタイピング」とは?
「FPGAプロトタイピング」とは具体的に何を指しているんでしょうか?
またまた、グッドクエスチョン。ASIC開発では、一度チップを製造してしまうと後から設計変更ができない(製造マスクの再作成が非常に高価で現実的でない)のです。だから、事前に設計の正当性をしっかり検証することが非常に重要です。しかし、大規模なASICでは従来のシミュレーションだけだと膨大な時間がかかってしまいます。
それに、ソフトウェアの動作検証やデバッグも、ASIC完成後でないと本格的に取り組めないという問題もありますよね。開発を効率化するのってすごく難しそうです。
おっしゃる通りです。そこでFPGAが役立つのです。FPGAは設計修正が容易で、論理回路の書き込みもお手軽です。設計した内容をすぐに実機レベルで検証できるから、“製造前に確実に動作をチェックできる”というわけです。さらに、FPGAを使えばソフトウェアの並行開発も可能で、設計全体の前倒しも期待できます。
それなら設計の手戻りリスクも大幅に下がりますね!でも、通常のFPGA開発と、ASIC化を前提としたFPGAプロトタイピングでは、開発の仕方に違いがありそうですよね?
Yes!FPGA開発は、基本的に“同期回路設計”。つまり、一つのクロック信号に従って全ての動作を合わせる設計が基本です。FPGAのツールやチップ自体がこの“同期設計”のために最適化されています。
対して、ASICは“非同期回路設計”ということですか?
いやいや、そういうことではありませんよ。FPGAとASICではRTL記述が変わってきます。たとえば、消費電力低減のため回路動作をON/OFFする設計を考えてみましょう。
FPGA設計だとクロックイネーブルを活用します。これは単に回路の動作をON/OFFする制御論理です。クロック信号自体は流れています。
これに対してASIC設計ではクロックゲーティングという別の手法が使われます。物理的にクロック信号自体を遮断して回路動作をON/OFFする制御です。
へぇー、同じ回路動作のON/OFF1つとっても、やり方に違いがあるんですね。となるとこのような違いがわかっていないと後で思った通りの機能にならない…という自体になりかねません。
だから、FPGAプロトタイピングでも、最終的なASICでちゃんと動くかという観点でタイミングや動作モードをしっかり意識して設計することが大切になってくるんです。
FPGAプロトタイピングって、FPGAの柔軟性を活かした設計で質の高いASIC設計を実現できるんですね。実際に現場で悩んでいるエンジニアさんには、すごく心強いサービスだと思います!
はい。FPGA開発の実績とノウハウ、さらにArmの技術やAMDパートナーシップもフルに活かして、より精度の高いプロトタイピングを目指します!
お客様が“失敗なく、素早く、理想どおり”の半導体を作れるよう、全力でサポートしていきたいですね。FPGAプロトタイピングの現場ならではの知見も、これからどんどん発信していきたいです!
その通りです。実際の開発事例や、設計現場の工夫もまた機会を改めて紹介していきたいと思います。気になることがあれば、ぜひ気軽にご相談いただければうれしいですねぇ。
終わりに
今回の「Arm Approved Design Partner」への認定、本当にすごいニュースでしたね。OKIアイディエスとしてどんな展望があるんですか?
Armの技術を活用することで、日本国内のAI搭載機器、医療機器市場における設計受託事業を強化していくつもりです。またOKIグループ全体では、設計受託した機器の試作・量産についても、OKIの展開するEMS(生産受託サービス)事業で連携して積極的に取り組んでいきますよ。
ASIC開発の現場で、「FPGAプロトタイピング」が非常に有用であることも分かりました。OKIアイディエスの新しいチャレンジへの扉が開けた気がしますね。
その通りです!これからも、Arm社との連携をさらに深めて、多くの業界に貢献していきたいと思います。当社の新しい挑戦にご期待ください!
ぜひプレスリリース、アライアンスサイトも合わせてご確認ください!
次回のブログ更新は8月を予定しています。
お楽しみに!
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