Tech Blog

意外と知られていない?OKIアイディエスの機構設計

人物
小野です!
よろしくお願いします!!

こんにちは、小野です。
今回はOKIアイディエスの機構設計をご紹介します。

人物
先輩、相談です。こないだは、実は意外とやっているOKIアイディエスの電子回路の設計についてご紹介しましたが、まだ全然知られてない設計開発がOKIアイディエスにあると思うんです。
人物
知られていない設計開発…?そんなのありますかな?
人物
あります!「機構設計」です!
「機構設計」というと、動きを伴う設計というイメージが強いかもしれませんが、OKIアイディエスが得意としているのは、構造系や実装系の設計も含む幅広い設計分野です。
OKIアイディエスといえばFPGA設計をよくアピールしていますが、その陰にこういった設計は隠れてしまっています!!
人物
OKIアイディエスはFPGAを中心とした周辺回路設計ができますし、基板を実装する筐体設計のご要望もあります。その際には、各種規格を意識した設計が求められますよね。
人物
僕は機構設計をもともとやっていましたが、構造や実装の設計がどんなことをやっているのか、意外と知られていないんですよ。
人物
なのに、「筐体の設計なんて箱を作って終わり!」
そう思われていないですか?そんな単純じゃないんです。熱や強度、耐久性、防水、防塵、入手性、コスト…いろんなことを考えて部品を設計したり、部品を選定したりしているんです!だからこそ、どんなことをやってるのかもっと知ってほしい!
人物
おお、今日はなかなか熱い…。でも、OKIアイディエスの機構設計の影が薄いということはないですよ(多分)。
人物
「多分」ってなんですか、「多分」ではまだまだダメです!
人物
でも、あまり中身を多く知られていないのも事実。今日は小野君の主役回ということで、存分に解説してもらおうではないですか。







そもそも機構設計とは?

人物
OKIアイディエスの設計は「ソフトウェア設計」、「FPGA設計」、「電子回路設計」、「機構設計」と大きく分けられます。
人物
OKIアイディエスの機構設計では、主に「構造設計」、「実装設計」を行っています。
構造設計や実装設計はあらゆる製品において、製品の内部構造や部品配置を決定し、製品の機能性や耐久性を支える重要な開発工程です。
人物
なるほど、製品の中身をしっかり設計しているんですね。
動きがある製品なら、特に安定して動作させるために剛性を確保する必要がありますし、熱の問題も無視できません。
人物
意外と見落とされがちなのが、ユーザビリティや安全性、メンテナンス性です。組立性もとても重要ですよね。
人物
さらに、使用環境によっては防水・防塵も考慮しなければならず、検討すべきことが本当に盛りだくさんです。
だからこそ、しっかりプロセスを踏んで設計を進める必要があるんですね!
人物
その「プロセス」というのは?
人物
これがOKIアイディエスの機構設計の開発プロセスです。最初のステップは「方式設計」。製品が使用される目的、使用環境、必要な機能を明確にし、設計の方向性を定めていきます。
ここでしっかりとしたイメージを固めることが、その後の詳細設計の基盤となるんです。

方針設計

人物
こうした方向性が明確になると、設計全体のイメージが固まり、必要となる部品の選定はもちろん、部品同士の配置や形状、機能の詳細設計も進められます。
人物
「具体設計」では、3D CADを活用して部品の形状や配置を詳細にモデル化し、設計の意図を正確に反映させます。
3D CADはあくまで設計を具現化するためのツールです。まさに具体設計は、設計者の考えや判断が反映される重要なプロセスですね。
人物
設計が進んだら、さっきの様々な要素が考慮されて設計に反映されているか確認が肝心です。図面を作成して部材を手配して…組み立てて、いよいよ実機評価です。
人物
ちょい待ちです!製品の実機評価に入るにはいろいろ考慮が足りてないです。
たとえば、組み立てた製品で衝撃試験を行い、装置を壊してしまったら大問題ですよね。
設計者としては、こうしたリスクを軽視するわけにはいきません。
確かに、3D CADのおかげで設計が目に見えるようになり、完成しているように錯覚しがちですが、実際にはまだ検証を行いながら設計を詰めていく段階です。だからこそ、焦ってすぐにモノを作りたくなる気持ちはわかりますが、慎重に進めることが大切なんです。
人物
………それはとてもまずいですね。だから、具体設計の中でシミュレーションをやるのか!
人物
その通りです!具体設計のフェーズでシミュレーションを実施し、構造方式や材料の選定が妥当か、要求仕様を満たしているかをしっかり確認します。
人物
ということはそういった確認がしっかりできて初めて、製造設計へ進めるということですね。
人物
そうです。今回は、そんな「シミュレーション」をもう少し深堀していきますよ!







シミュレーションの手順

人物
機構設計においても、やっぱりシミュレーションを実施する意義は非常に大きいんですね。
人物
その通りです!3D CAD上でモデルを見ただけじゃ、たとえば強度・剛性や熱対策が十分かどうかなんてわかりません!
人物
確認を怠って、製造・組立に進んだ後に設計ミスや強度不足に気づいても遅いんです。ソフトのようにプログラム修正をかけて終わり、とはいきません。再設計や再作が必要になるため、開発期間やコストが余計にかかります。
確かに機構設計における手戻りは被害が大きいですよね。
人物
さっきから何度もシミュレーションって言いますけど、具体的にどんなシミュレーションをやるんですか?
人物
たとえばこんなものがあります。いずれもOKIアイディエスで実施できるんですよ!
  • 強度解析(静荷重応力解析):
    時間に依存せず、対象物に静的に生じる変位や応力の変化を調べる解析
  • 熱解析:
    対象物の温度分布や熱の流れを見る解析
  • 熱応力解析:
    温度変化によって材料に生じる膨張・収縮に伴う、対象物の変形や応力を評価する解析
  • 振動解析:
    対象物の振動特性(固有振動数、振幅、位相など)を調べる解析
  • 衝撃解析:
    対象物に衝突や落下など、短時間で急激な力が加わる現象において、その対象物がどのように応答するか(応力や変位など)を予測する解析
人物
いずれの解析も3D CADで作成した3Dモデルを使って行います。これらの解析は有限要素法(Finite Element Method)という手法に基づいて計算されるんです。
人物
なんですか、有限要素法って?
人物
解析にかける対象物を小さな要素(メッシュ)に分割して、それぞれの要素の性質を数値化して計算することで、対象物全体の挙動を予測する手法です。
たとえば、下図の左側の筐体の例では、メッシュを切ると右側のようになります。

方針設計

人物
ひびみたいに細かい線が走っていますけど、これがメッシュを切った状態なんですね。
人物
この状態から、開発中の筐体や部品に対して様々な解析を行っています。
それでは、次に実際に行っているシミュレーションについて詳しく見ていきましょう!







強度解析

人物
機構設計でやるシミュレーションといえば熱解析なんかがありますよね。
人物
他にも、筐体の剛性を確認する構造系解析があります。
製品が使用される目的や環境に合わせて、どんな事前評価が必要か検討し、どんな条件にするかは「方式設計」のフェーズで決めておきます。
人物
熱解析といえば、以前のブログで宇宙機器向けの熱解析シミュレーションサービスを紹介しました。熱解析が気になる方は、是非下記のリンク先をご覧ください!
人物
以前ブログで熱解析については紹介してもらったので、熱解析以外の解析が気になりますよ。さっき言っていた構造系解析では具体的にどういうことをやってるのか、そのあたりを教えて欲しいです!
人物
当社では、設計用CADと各種解析ツールとして、「SolidWorks」を利用しています。では、実際の開発で取り組んでいた強度解析の事例をご紹介しましょう。過去に映像データの処理に使われる製品の筐体をOKIアイディエスで設計したことがあるので、これを例に説明しましょう。
人物
あ、この開発には僕も関わっていたことがあります。まだあの頃は新米のペーペー(笑)でしたが、実機検証を担当していました。この製品は車載用途を想定していたため、特に高い耐久性が求められていました。
人物
この製品は、19インチラックに取り付けて使用するものですが、筐体の幅はラック幅の半分しかないので、ラックへ固定するためのブラケットも一緒に設計したんですよ。
人物
そうそう。設計後、部品製造に移りたいところですが、走行中の車で使われることを考えると十分な強度があるか気になるところです。そこで、装置をラックに固定した状態で上から10㎏程度の力をかけて押さえつけるとどうなるか…。そんな強度解析を実施してみました。
人物
今回は1Uラックサイズ(高さ約44.45mmの標準的なラック)の筐体です。1Uラックの耐荷重は10~25kg程度が多いため、装置+ブラケットの重量を15㎏程度としました。さらに10㎏の荷重をかける想定でした。その結果がこちら!

1Uラックサイズ

人物
上の図の筐体の色が青から赤に移るにつれて、変形量が大きくなります。
人物
奥側が製品正面、手前が製品の背面です。正面の左右2か所が固定部分になっていて、中央に力をかけても変形はありませんが…。
人物
正面は濃い青色になっていて、変形はありませんが、製品背面は赤くなっていて、最大変形位置を見ると、10mmも撓んでますよ。製品の上に重量物を置いたりしたら撓んでしまい、最悪の場合、ラックから外れてしまう危険性もありました。
人物
製品内部の基板や部品が歪んで故障することなども考えられますよね。解析結果から、このブラケット構造では強度不足と判断し、改良設計を行いました。同様の強度解析を実施して、その結果がコチラ!

強度解析

人物
製品の背面だけでなくブラケットの後ろもラックの載せ台に固定する構造にしたんですね。さっきと同じように荷重(押付力)を加えても、最大撓み量はわずか0.5mm程度。さきほどの構造に比べて、強度が格段に向上していることがわかりますね。







振動解析

人物
次は振動解析です。
自動車の走行による振動やモーターのような駆動部品からの振動など、製品はさまざまな振動にさらされています。製品の振動に対する耐久性を考える上で、重要なポイントが「共振」です。
人物
なんですか、「共振」って?
人物
「共振」というのは、加えた振動よりもはるかに大きな振動が発生してしまう現象です。ものには、「固有振動数」という特有の周波数があり、その周波数と同じ振動を与えると、振幅の小さい振動でも、大きな振動につながってしまうんです。
人物
こんな図があります。これは振動の周波数に対する物体の変位、つまり物がどれだけ揺れているかを表したグラフです。周波数が上がるにつれて、あるポイントで変位が最大になるのがわかりますね。

固有振動数

人物
変位が最大となるポイント、これが固有振動数です。ただし、固有振動数を超えてさらに周波数を上げると、変位は小さくなります。製品の振動に対する固有振動数を高く設定することで、振動に強くすることができます。
人物
ちなみに物体の固有振動数を下げるには、物体の剛性を上げることや、物体の質量を小さくすることが考えられます。
人物
振動解析にはいくつかの手法がありますが、OKIアイディエスでは、物体の固有振動数とその振動の形状を調べるモーダル解析(固有値解析)を実施しています。
人物
いくつか手法があるなかでモーダル解析を採用している理由が気になります。
人物
OKIアイディエスでの振動解析では、固有振動数すなわち対象物が振動しやすい周波数と、その振動の形状に絞っています。これらがわかれば対象物の挙動の傾向を把握できるんです。これがわかるのがモーダル解析です。
人物
さらに他の手法に比べて、モーダル解析は計算結果を早く得られるので、設計変更した効果をすぐ確認できるし、複数の対策案を短時間で検討できるのが大きな特徴です。
人物
へぇ、じゃあ知りたい項目について、短時間で設計変更の効果を確認できるのが強みなんですね。具体的に、振動解析ってどうやっているんですか?気になりますね。
人物
ですよね。先ほどとは別に、内部に基板が入った通信機器の振動解析の事例をご紹介します。お客様と条件を整合し、製品が使われる環境などを踏まえて解析条件を設定しています。

解析条件を設定

人物
振動モードについて、誤解されやすい点がありますので、説明しますね。モード1、モード2というのは、振動の数を表しているわけではありません。これは、対象物の共振周波数が低い順に番号を付けているだけなんです。
人物
それぞれのモードでは、振動の仕方や振動する部品が異なり、振動の様子は様々です。つまり、モードが増えるごとに振動の形や影響範囲が変わっていくと考えてください。
このように、モーダル解析では複数の振動モードを調べることで、製品の振動特性を多角的に理解できます。
人物
装置の断面を見ると、基板がぐにゃりと撓んでいるじゃないですか!実際に振動が加わったら、基板なんてパキッと折れちゃうんじゃないですか?
人物
モーダル解析は振動の傾向をつかむためのものです。
だから、どの部分をどう抑えるかを検討するわけです。
実際の振幅は別途評価が必要ですが、この解析は設計変更の重要な指針になります。小野君なら、どんな対策が必要だと思います?
人物
こうした振動解析の結果から、基板の撓みを少しでも小さくしたいです。筐体の底の部品と基板の固定方法を見直したいですね。また、装置が共振する固有振動数を高くして、現在の振動条件に耐えられる工夫が必要だと思います。
人物
実際に、当社の設計者もそこに注目しました。下の図は、筐体の底の部分です。改良前のモデルでは、モーダル解析の結果、固有振動数900Hz以上が求められていましたが、到達できていませんでした。

改良前のモデル

人物
解析結果からも、要求仕様が満たせていないことがわかりました。そのうえで、対策を行って、再度解析するとどうなったんでしょう?対策の効果は出たんですか?
人物
基板の質量を下げることが困難であることは簡単に想像できるため、剛性を上げる、つまり基板を補強する方向での対策を検討します。全体のコストを意識しつつ、最低限のねじ止め箇所を追加して改良していきます。
そして改良後の結果がコチラ!

改良後のモデル

人物
お、固有振動数が大きくなっていますね。ということは、同じ周波数でも改良前と比べて基板の振動が抑えられたってことですね。これなら耐久性も確保できます。
人物
この結果をレビュー、その後部品を製造、組立を行い、実機評価しました。完成した製品に振動試験を実施し、性能を確認しています。







最後に

人物
振動試験の紹介がありましたが、OKIアイディエスで評価ができない場合はどうするんですか?
人物
大丈夫です。より大規模で高度な評価にも対応できるOKIエンジニアリングというグループ会社があります。もし、「こんな評価が必要だけど、難しいかな…」と思う場合でも、一度ご相談いただければと思います。
人物
OKIエンジニアリングといえば、試験・評価を専門に行っているグループ会社ですよね。
人物
そうです。前回はPCBの設計・製造ができるOKIサーキットテクノロジーをご紹介しましたが、OKIグループで設計、製造、評価までワンストップで実施できるわけです。小野くんが「あんまり知ってもらえていない!」という機構設計も、しっかりした体制が整っていることを知ってもらえたんじゃないでしょうか?
人物
はい。ありがとうございます。これで、ばっちり伝わったと思います。今まで知らなかった解析の取り組みも聞けてよかったです。やっぱり構造系や実装系の設計は奥が深くて面白いなぁ。それだけじゃなく、「ソフトウェア設計」、「FPGA設計」、「電子回路設計」、「機構設計」、「実装設計」。これらの協調設計こそが、OKIアイディエスの強みだと思うので、もっとアピールしていきたいです。
人物
今回紹介した強度解析や振動解析だけでなく、熱解析や衝撃解析なども当社で実施できます。解析のみのご相談も承っておりますので、気になったらぜひご相談ください!
人物
そういえばOKIの技術広報誌「OKIテクニカルレビュー」で 宇宙機器の熱課題の解決に関する新サービスの掲載を見かけましたよ!
人物
こ、これは!?僕も全然知らないのですが…。
人物
それは、宇宙機器熱特性検証サービス「SimuValid™」です!
OKIアイディエス、OKIサーキットテクノロジー、OKIエンジニアリングの三社が保有する熱解析シミュレーション、バリデーション、放熱技術、原因解析の技術・ノウハウを結合・一体化させて一気通貫で対応するサービスです。
ぜひ、このテクニカルレビューもチェックしてくださいね!
人物
次回のブログ更新は2月を予定しています。
お楽しみに!
  • 記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
  • ここに記載されている仕様、デザインなどは予告なしに変更する場合があります。
  • YouTube

お問い合わせ

お問い合わせ