展示会、セミナー情報

展示会出展レポート

「第16回オートモーティブワールド 」出展報告とご来場の御礼

当社は、2024年1月24日から26日に東京ビッグサイトにて開催された「第16回オートモーティブワールド」内の「第14回クルマの軽量化技術展」に、群馬県ブースから出展いたしました。オートモーティブ ワールドは、カーボンニュートラル、電子化・電動化、自動運転、コネクティッド・カー、軽量化など、クルマの先端テーマの最新技術が一堂に会する展示会です。その注目度の高さを会場の雰囲気からも感じることができました。主催者の会期結果報告によりますと、3日間で77,744名の方が来場されたとのことで、非常に大盛況でした。ご多忙の中、当社ブースで足を止めていただき、説明を聞いてくださった皆様に心より御礼申し上げます。

第16回オートモーティブワールド

展示ブースのご紹介

昨年に引き続き、私たちの活動拠点である群馬県では、群馬県内企業の製品・技術力をアピールする場を設けてくださいました。募集枠9社という限られた中、今年も出展が叶いました。
今年度はブースデザインのほうも、近代的なグラフィックをデザインの基調とし、クルマの先端技術を想起させる先進的なデザインで、非常に「かっこいい!」と個人的にも思いました。

イメージ画像

ところで、当社が出展した展示会名は前述のとおり、「クルマの軽量化 技術展」です。クルマの軽量化技術ですから、皆さんが想像するのは、加工技術、新素材などではないでしょうか?群馬県のブースに出展している企業も、切削、研削、鍛造、ガスインジェクション、表面処理、小型精密部品などを得意としているメーカーばかりです。展示品を見ても、周辺のブースでは部品が多々並べられているのに対し、当社は、カメラとPC・基板とモニター・・・その異質な状況なため、逆に足を止めてくださる方が多くいらっしゃいました(笑)。立ち止まってくださった皆様、本当にありがとうございました。

ブースの様子
「群馬県ブース内のOKIアイディエス ブースの様子」

で、「どこが軽量化なんだ?」と当然のように聞かれます。はい!軽量化はちゃんと行っております!
わたしたちOKIアイディエスは、OKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS™」を持っているのです!(この「PCAS™」に関しては、このあとデモの紹介のパートで詳しく説明いたします) きっと、皆さんの期待は、物理的な軽量化の効果ですよね?そのご期待にももちろんお応えできるのです。AIのモデルの軽量化を行うことで何が起きるでしょう?そうです!言葉の通りAIモデルが軽くなる。つまり、リソース(容量)が少なくなるのです。リソースが少なくなれば、デバイスの“ダウンサイジング”が期待できます。はい!物理的に小さくなりました。そして、“ダウンサイジング”の効果は、“コスト”に効いてくるはずです。量産移行時にターゲットコスト未達で慌てふためいた経験はございませんか?量産移行時にデバイス変更なんてありえませんので、上流工程でのコストの作り込み、しっかりデバイス選定をしておくことが、トータルコスト、開発期間の短縮にもつながるのではないかと思います。
というご説明を差し上げると、皆さんご納得くださいました。

前置きが長くなりましたが展示品の紹介をさせていただきます。

① エッジAI向けAIモデル軽量化、最適化ソリューション

  • OKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS」にて軽量化したAIモデル(YOLO V3)を、AMD製AIアクセラレータカード Alveo™ V70にFPGA/SoC高速化プラットフォーム「Zebra™」にてハードウェア化、30fpsのリアルタイム性を確保しました。

② エッジAI向けSOM(System On Module)を活用したカメラモニターソリューション

  • エッジAI向けKria™ K26 SOM(AMD製) にZebra™ IP を実装。一般的に売られているUSBカメラとモニター、そしてZebra™ を実装したKria™があれば、AIを始めることができます。

③ フライングビュー

  • 4台のカメラから周囲360°の俯瞰映像を生成し、表示された映像を自由な視点から見ることにより、広域のシームレスなモニタリングが可能で、周辺を直感的にとらえることができるシステムです。(FlyingviewはOKIの登録商標です)

<参考>10GigE 5.1Mpix60fps Vision Camera Platform

  • 5Mpixのカメラからの高解像画像を、高速画像伝送GigE Vision® で伝送。5.1MPix60fpsの高速伝送を実現。
  • SLVS-EC IPと、GigE Vision IPをAMDのエッジAI向けKria™ K26 SOM に最適実装

① AIエッジ向けAIモデル軽量化、最適化ソリューション

このデモは、当社OKIアイディエスで最も注力しており、他社と差別化ができると考えているOKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS™(Pruning Channels with Attention Statistics)」を使ったソリューションです。

以下に、デモ構成と、その構造図を示します。
USBカメラ(30fps)にてリアルタイム映像を取得し、物体検知を行うAIモデル「YOLOv4」にて推論を実施。認識した物体にバウンディングBOXおよび、その「信用度(※)」を表示する画像処理を行いました。この物体検知を行うAIモデルを、AIモデル軽量化技術「PCAS」にて任意の圧縮率で軽量化を行い、AMD社のFPGA/SoC高速化プラットフォーム「Zebra™」にて、AMD社の最新アクセラレータカード ALVEO™ V70に実装した状態をデモンストレーションしました。

(※)信用度:AIの出力結果が物体の検出にどれだけ自信を持っているかの指標

デモ構成
① -1デモ構成

構成図
① -2 構成図

今回の展示では、モデルを最大に軽量化し、下の写真にあるようにフレームレート30fps以上を出すことができました。

画面の表示の意味
① -3 画面の表示の意味

ここで、“軽量化”は、“認識精度”に影響はあります。影響はあるのですが、お客様の開発したいアプリケーションで、どの程度の認識精度が必要かの見極めが重要と考えます。影響がある=使えない ではなく、上流工程で見極めを行い、仕様に落とし込むことにより、評価ターゲットの絞り込み、開発期間の短縮が期待できると、私たちは考えています。
横のPCにて、比較動画を一緒に展示させていただきましたが、「非常にわかりやすい」と好評をいただきましたので、掲載させていただきます。


① -4 比較動画

効果比較
① -5 PCAS™×Zebra™ 効果比較

1 CPU処理のフレームレート 1(fps)をベースに比較すると、次のような結果となります。
2 ZebraでFPGAに最適実装することにより、14~19(fps)
3 PCASで認識精度に影響ないレベルで圧縮(低圧縮)し、軽量化。それをZebraでFPGAに最適実装することにより、19~24(fps)
4 軽量化優先で圧縮(高圧縮)し、それをZebraでFPGAに最適実装することにより、25~30(fps)
このようにPCASとZebraを活用することにより、パフォーマンスの向上が期待できるのです。

また、認識精度影響がアプリケーションとして許容できた場合、軽量化の効果はFPGA/SoCのダウンサイジングにも効くと考えられますので、エッジ向けに展開されているFPGA/SoCに高度AIを搭載できる可能性もあると考えています。
AIモデルを軽量化したいと考えていらっしゃる方、ご興味のある方は、是非ご相談ください。

AIモデル軽量化技術「PCAS™」
ここで、AIモデルの軽量化のイメージを図示します。
PCAS™は、モデルプルーニング技術の一種で、AIモデル内に存在する不必要な演算(ニューロン)を特定・削減します。小型モデルの挿入・最適化に基づいて、軽量化対象の各畳み込みレイヤーを含むニューロンの重要度の推定、および削減を行うことで、認識精度を最大限維持しつつ、効果的にモデルを軽量化します。その結果、推論処理の高速化 と メモリー使用量/消費電力の低減 を実現します。

AIモデル軽量化「PCAS™」
AIモデル軽量化「PCAS™」のイメージ

FPGA/SoC高速化プラットフォーム「Zebra™」
Zebra™は、AMD社の主力ソフトウェアプラットフォームです。AIプログラム(ニューラルネットワーク)に対する推論を行い、FPGAに実装することで高速な演算処理(ハードウェアアクセラレーション)が可能になります。GPUで学習したニューラルネットワークを1コマンドでFPGA/SoCで実行できることも大きな特徴です。

PCAS™×Zebra™
当社OKIアイディエスでは、AI軽量化技術「PCAS」とFPGA/SoC高速化プラットフォーム「Zebra™」を組み合わせたAIモデルのFPGA/SoCへのアクセラレーション最適手法でお客様の開発の効率化、AI推論処理の高速化をサポートいたします。
この提案は、AIモデルの開発はGPUで、AIモデルの実装はFPGAで、とそれぞれのデバイスの特長を活かしてエッジAI開発を行うものになります。GPUはAIの開発で広く利用されており、一般的には、AIの開発がし易いと言われています。そのため、AIモデルの開発自体はGPUを利用して進めます。そして、装置への実装については、エッジAIで要求されているコンパクトさと高性能を実現するために、インターフェース含めた構成が可能で、他のデバイスよりも低遅延、低消費電力と言われているFPGA/SoCに対して行う、という提案です。異なるデバイスへのAIモデルの実装の際、重要なポイントとなりますのが、OKI独自のAIモデルの軽量化技術「PCAS™」とAMD社のFPGA/SoC高速化プラットフォーム「Zebra™」を組み合わせたAIのFPGA/SoCへのアクセラレーション最適化手法になります。

FPGA/SoC設計・開発サービス

② エッジAI向けSOM(System On Module)を活用したカメラモニターソリューション

一般的なUSBカメラとモニター、そしてAIを動かすことができる基板。これがシンプルなエッジAIシステムであると思います。PCが使えない環境(スペースが限られている、など)、クラウドには繋げないシステム(セキュリティ面でエッジでクローズしたい、など)などなど皆様が使用したい環境でもあるのではないでしょうか?
今までもこのKria™ を活用したAIのデモを多く作ってきました。今まではAI処理部に「DPU」を使っていましたが、今回のデモでは、①でご説明した「Zebra™ IP」 を実装しました。これにより、お客様の開発の選択肢が増えることになりました。
ちなみに、このKria™ K26に、「Zebra™ IP」を実装し、動作させたのは、私たちOKIアイディエスがとなります!(2024年1月時点)(なんとかこの展示会に間に合いました!実装に際し、ご協力いただいたAMDの方々に感謝申し上げます)

デモ構成
② -1デモ構成

デモ構成
② -2構成図

その選択肢とは・・・
OKIアイディエスは、昨年度末から、販社であるアヴネット様が提唱されているFPGAベースのAIエコシステムの枠組みに参画し、「Edge Computing Platform」というコンセプトのもと、活動をしてまいりました。「Edge Computing Platform」のコンセプトは、簡単に言えば、システムレベルの開発において、前段処理、後段処理に配置したものを、性能や消費電力やリソースに合わせ、機能を再配置しながら最適化を行う。という考え方です。つまり、共通ツールの利用、開発環境のプラットフォーム化を行います。これにより、開発中はもちろん、製品リリース後にサービスとして、機能再配置、最適化して提供することも可能となります。つまり、今回①のALVEO™ V70(カードエッジ型の評価ボード)および、②のKria™ KR26(エッジ向けボード)の双方にZebra™ 環境を適用することができましたので、V70で評価、作り込んだ内容は、エッジ装置開発に移行する際に、スムーズな移行が期待できるのです。

<参考>Kria™ラインナップのご紹介
Kria™ K26 SOM/Kria™ K24 SOM サイズ比較
Kria™ K26 SOM/Kria™ K24 SOM サイズ比較

Kria™ K26 SOMの特徴

  • ビジョンAIアプリケーション向け
  • クレジットカード程度の小型サイズ 77 x 60 x 11(mm)

Kria™ K24 SOMの特徴

  • モーター制御や DSP アプリケーション向け
  • クレジットカードの半分程度の小型サイズ 60 x 42 x 11(mm)
  • Kria™ K26 SOMと互換性あり

③ フライングビュー

やはり、クルマ関連の展示会ですので、車載のイメージも出したいと思い、OKIの「フライングビュー」を展示させてもらいました。近年、様々な事故を未然に防ぐために、カメラを使った監視システムが非常に多くなっていることが身近に感じられるようになってきました。そして、任意方向からだけではなく、360°周囲を確認したいとの要求が高まっています。フライングビューは、4台のカメラから周囲360°の俯瞰映像を生成し、表示された映像を自由な視点から見ることにより、広域のシームレスなモニタリングが可能なシステムです。タッチパネルにて、自分の見たい視点にスワイプしてあわせるだけの簡単操作なので、くるくる回して楽しんでいる方が多くいらっしゃいました。「周辺を見たいんだよなぁ」と考えていらっしゃる方は、是非一度ご覧ください。

フライングビュー

<参考>10GigE 5.1pix60fps Vision Camera Platform

1つのソリューションとして着目したのが、生産ラインでの活用をイメージした“FAカメラシステム”です。今回は、パネルのみの展示でしたが、10月に開催された「Edge Tech+」にはデモを展示させていただいておりました。
OKIアイディエスは、マシンビジョン規格のひとつである「GigE Vision® IP」を保有しており、当時、AMD社がエッジAI向けに上市したKria™ K26 SOMに実装した実績があります。この時、入力系はWeb会議などで使っているUSBカメラ(FHD30fps)でしたが、FAラインをイメージし、5.1MPix60fpsのGigE Vision カメラシステムをAIエッジデバイスKria™ K26 SOM(System On Module)にて実現することに取り組みました。Kria™ K26 SOMを搭載したKria™ K260 ロボティクススターターキットには、多画素高速イメージセンサー向けの高速インターフェース規格であるSLVS-ECというインターフェースが搭載されています。そこで、同じくエコシステムに参画されていて、産業用イメージングシステムの開発から製造、販売を手掛け、SLVS-EC対応の5Mpixカメラと、SLVS-EC IP を保有されているCIS様とタッグを組み、推進し、完成させることができました。

デモの内容としては、前述しましたように、FAのラインをイメージしております。
生産ラインでの製品検査カメラから入力された製品画像を、前工程であるカメラ側で処理を行い、マシンビジョン用途で広く使われている「GigE Vision®」で高速伝送します。カメラ用「SLVS-EC Receiver IP」と、高速画像送信用「GigE Vision V2.0 Tx IP」の2つのIPを、Kria™ K26 SOM へ実装する必要があります。また、下記構成図にある“User Application”部にて、AI処理を行うことも想定ですので、DPUのリソースも確保しておく必要があります。エッジAI向けのKria™ K26 SOMには、FPGA/SoCが搭載されていますが、この容量は比較的少ないため、最適に実装する必要があります。このFPGA/SoCへの実装は、当社の最も得意とする部分です。(その実績から、当社はAMD社のプレミア ソリューション メンバーに認定されております)リソース的な部分はCIS様のご協力もいただき、実装することができました。
今回、このUser Application の部分にAIを実装したのが、まさに前述②のKria™ K26に「Zebra™」を実装したというところなのです。この高解像度のカメラのシステムにおいても、AIを、「Zebra™」を実装した形態を、次の機会に是非ご覧いただきたいと思っております。

行程

最後に・・・

今回は、「軽量化」を別の角度からアプローチさせていただきました。いかがだったでしょうか?
ただ、本流のAI関連の展示会においても、この軽量化技術「PCAS™」は、皆さんご興味を持ってくださいます。「そういえば、OKIアイディエスって会社が、AIモデルの軽量化って言ってたな・・・」と、頭の片隅にでも残って下されば幸いです。AIに取り組む際には、検討する材料になると思いますので、その際は是非ご相談ください。
一方、「AIは使いたいんだけど」、「何からして良いかわからない」・・・まずは情報収集という方が、多数いらっしゃいます。今回も多かったですね。お客様がAI開発プロセスのどのステージにいらっしゃるのかを確認させていただき、エコシステムの枠組みで、その壁を下げていき、まずは「できるかも!」に変わっていただけるように、引き続き活動していきたいと思います。

当社は設計・受託会社です。お客様の「こんなAIを搭載した商品を開発したい」、「AIを使ってみたいんだよなぁ」などのご要望の具現化のお手伝いをさせていただいております。お気軽にご相談ください。

ありがとうございました。
ご来場ありがとうございました。

※今回、OKIのバーチャルキャラクターの「緒希ツナグ」ちゃんのデフォルメバージョンをパネルにも登場いただきました。
「このキャラクター誰ですか?」と聞いてくださる方も多く、「HPで見てます!ツナグちゃんのデフォルメバージョンも出たんですね!」というコアなファンの方もいらっしゃいました(笑)。「ツナグちゃん」の応援もよろしくお願いします。

本展示、デモに関するご質問、ご相談ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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