当社は、2023年6月21日から23日に東京ビッグサイトで開催された「第1回ものづくりODM/EMS展」に出展いたしました。「第1回ものづくりODM/EMS展」は、10の専門展で構成される「第35回日本ものづくり ワールド」の1つの展示会であり、ものづくりの開発・製造ODM、EMSなどを得意とする企業が一堂に集結いたしました。新型コロナも5類に移行した影響もあってか、人流も本当に戻ってきたように思います。主催者の会期結果報告によりますと、3日間で66,895名の方が訪れたとのことで、大盛況となりました。(※会場に来場した方が、受付で提出した名刺1枚を1名と数え、その方が複数日来場しても1名として集計されています)
本展示会には、「Advanced M&EMS」を掲げ、 EMS(設計・製造受託サービス)を展開するOKI-EMSグループでブースを構えました。私たちOKIアイディエスは、OKI-EMSグループの一員であり、その上流工程である「設計・開発」を担っております。「AIを組み込んだ機器開発を行いたい」とのお声もいただくようになってまいりましたので、この新設された「ものづくりODM/EMS展」で、AI関連の技術をアピールさせていただきました。ご多忙の中、当社ブースにお立ちよりいただいき、そして説明を聞いてくださった皆様に心より御礼申し上げます。
グループ各社が特徴ある製品・サービスを展示
ブース内セミナーも開催しました
医療機器,建設・防災・インフラ,産業・FAロボット
航空・宇宙,BLE無線端末,
AI/DL開発・設計(OKIアイディエスです)
私たちは、昨年からCEATEC、オートモーティブワールド、そしてG7「デジタル技術展」など多くの展示会にAI関連のデモ展示を行ってきました。私たちが出展する目的として、「AIってこんなことができるんだ」を体感いただき、AI活用の可能性を感じていただきたいと思っています。これまではAIで推論した結果に対して、“画面に表示(重畳)”するデモを開発してきました。その結果の部分において、「何かを動かしたい」も当然あります。そこで、当社としては初となる“モーション系”のデモ開発にチャレンジいたしました。“モーション系”として選んだのが、“ロボットハンド”です。シンプルに「じゃんけん」をテーマにしました。やはり動きのあるデモはお客様の興味を引きます。AIに興味がなくても、“ロボットハンド”に興味を持ってくださる方も立ち止まって下さり、結果的にAIのお話に発展いたしました。「機械要素技術展」がとなりで開催されてましたので、機械系のエンジニアの方はロボットハンドに興味ありますよね(笑)
動きのあるデモはお客様の興味を引きました
お客様もじゃんけんにチャレンジ
上述しましたが、今回の開発テーマは「じゃんけん」です。お客様と「じゃんけん」勝負するシンプルなデモを開発しました。
お客様が出した手(「グー、チョキ、パー」)をAI推論し、ロボットハンドが必ず勝つデモです!(お客様が勝つんじゃないんかい!と聞こえてきそうですが、開発メンバーが負けず嫌いなもので。ご容赦ください(笑))
デモの構成は、下記の写真に示すように、主要アイテムは、USBカメラ、ロボットハンド、そしてAIエッジ向けのデバイス「K26 SoM(AMD製)」だけです。モニターはAI推論の状況をお見せするためのものです。
デモ構成
実際に見ていただいたほうがイメージ掴めると思いますので、是非動画をご覧ください。(40秒弱の動画です)
ご覧いただけたでしょうか?デモの内容をもう少しご説明します。
出力1:「ハンドサイン分類」した結果をモニターに出力。
⇒お客様が出した手(「グー、チョキ、パー」)をAI推論、つまりAIで予想した結果を表示します。
出力2:「ハンドサイン分類」した結果から、お客様に勝てるよう「ロボットハンド」を動かします。
「KR260」にてPWM制御を行い、「ロボットアーム」のサーボモータをコントロールします。
⇒下記例では、映像入力が「グー」なので、勝つために「ロボットハンド」を「パー」の形にします。
「AIでロボットハンド動かすデモなんてあるじゃん」と思われた方も多いと思います。
確かにそうなのですが、2点ほどポイントがございます。
今回「エッジ搭載を想定した軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をOKIアイディエスで開発」したということが当社としては初でした。学習用に下記のようなグー・チョキ・パーの画像を各200枚作成し、AI学習を社内サーバで実行。AIモデルの推論速度評価では、1127FPSを記録しました。(※本結果はK26SoMでの結果です)
※FPS(Frames per second):フレームレート。1秒間に表示される画像(フレーム)数
つまり、1枚あたり1ms以下(=1/1127)でAI推論が終わるほどのレイテンシ(遅延)が実現できています。“エッジ搭載“というキーワードに対し納得性が出てくる数字と思っております。
学習データの例
もう1点は、前述もしましたが、AI推論結果の出力として“モーション系”のデモ開発は、当社としては初でした。今回のデモをご覧いただき、「AI推論の結果を使って、何かを動かしたい」のイメージ、アイディアの一助になってくだされば幸いです。
デモのポイントで記載した「エッジ搭載を想定した軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の開発」を、なぜ行ったのでしょうか?私たちが得意とするプロセスは、下に示す「AI開発を含めた商品開発フロー」における、「FPGA/SoCへの実装」です。その上流の工程には「AIモデル開発」があります。この「AIモデル開発」のフロー、プロセスを熟知する必要があると考えたためです。
プロセスを理解することによって、AIモデルのFPGA/SoCへの実装を、より最適に行うことができると考えています。FPGA/SoC への実装においては、FPGA/SoC固有の制限や制約がある場合があります。FPGA/SoC設計の勘所を持つ技術者が、AIモデルの開発段階で参画することにより、さらに効率的な開発を進めることが可能になります。
AI開発は、各プロセスに特化した業態でサービス展開されているため、システムトータルでの課題を把握し、適切にAIの組込みや提案ができる知識、技術を持ったインテグレーターが求められています。AIモデル開発のプロセスにおいては、各プロセスに特化した業態でサービスを展開されている企業が多くあります。当社は、AIパートナーシップというような形で、各社と協業形態もとりながら、お客様の製品化を見据えた形で、「AI搭載機器の商品開発」をサポートしていきたいと考えております。
OKIアイディエスが考えるAI開発を含めた商品開発フロー
「AIを搭載した商品を開発したいけど、どう進めて良いかわからない」という方、もちろん既に検討されている皆さまも、ご検討の際には、当社の設計・開発サービスの利用をご検討いただければ幸いです。
当社は設計・受託会社です。今回ご覧いただいたデモの内容をパッケージ化して販売等を行っているわけではございません。お客様の「こんなAIを搭載した商品を開発したい」、「AIを使ってみたいんだよなぁ」などのご要望の具現化のお手伝いをさせていただいております。お気軽にご相談ください。
今回、ロボットの制御はPWM(Pulse Width Modulation)で行いました。次回は、ROS2(Robot Operating System)にチャレンジしたいと思っています。 また、今回は市販品のロボットハンドを使用しましたが、OKI EMSグループであるOKIマイクロ技研がロボット用小型モータを開発しております。
さらには、沖電線にはロボット用のケーブルもあります。
今後、OKI EMSグループコラボで「AI搭載したロボット」作りたいなぁ。って思ってます。
ご来場ありがとうございました。
本展示、デモに関するご質問、ご相談ございましたら、お気軽にお問い合わせください。