展示会、セミナー情報

展示会出展レポート

「第4回AI・人工知能 EXPO 秋」への出展報告と来場の御礼

当社は、2023年10月25日から27日に幕張メッセで開催された「第4回AI・人工知能 EXPO 秋」展に出展いたしました。同期間、幕張メッセでは8ホールすべてで専門展が開催されており、多くの人が訪れておりました。主催者の会期結果報告によりますと、3日間で29,593名の方が来場されたとのことで、大盛況でした。

AI・人工知能 EXPO

当社OKIアイディエスは、AI関連ビジネス本格稼働という位置づけで、下半期日本最大と言われるこの展示会へ出展し、認知度向上を図りました。「AIを組み込んだ機器開発を行いたい」とのお声もいただくようになってまいりましたので、新作のデモもご用意し、多種・多様なAIのデモを「見世物市」の感覚でご覧いただき、「どうやったら実現できるのか?」など、AI開発の進め方などをお話しさせていただきました。ご多忙の中、当社ブースにお立ちよりいただいき、そして説明を聞いてくださった皆様に心より御礼申し上げます。

会場
多くのお客様に足を止めていただきました

OKIアイディエス展示エリアの状況

私たちは、昨年からCEATEC、オートモーティブワールド、そして今年に入り6月に開催された「ものづくりワールド」など、多様な展示会にAI関連のデモ展示を行ってきました。どこの市場にわたしたちの技術がミートするのか、逆に私たちに足りないところは何なのかも知る場としてきました。私たちが出展する目的として、「AIってこんなことができるんだ」を体感いただき、AI活用の可能性を感じていただきたいと思っています。まさに「現場で使えるエッジAI」はますます注目を集めておりますので、入力系にカメラ、AIを処理するエッジAIデバイス、そして、モニター、ロボットハンドなどの出力だけで構成されるデモを4点展示させていただき、コンパクトで、シンプルなAIを搭載したシステムが実現できることをご覧いただきました。
本展示会では、生成AIの展示が非常に多くあり、わたしたちのようなハードを使ったデモ展示は少なかったように思います。本展示会でも、動きがあり、シンプルな「じゃんけんAI」を前面に出し、興味を持っていただきました。
また、皆様が興味を持っていらっしゃる「AIモデルの軽量化」。OKIも独自のモデル軽量化技術「PCAS」という技術を保有しておりますので、その効果を体感いただけるようなデモを製作しました。こちらも多くのお客様の興味を引きました。

OKIアイディエスブース
動きのあるデモはお客様の興味を引きました

OKIアイディエスブース
新作!AIモデル軽量化技術をご覧いただきました

デモ1:クレジットカードサイズの基板で実現!エッジAI向けカメラモニターソリューション

「年齢推定AI」×モデル軽量化技術「PCAS」
今回のAI・人工知能EXPO向けに開発した新作のデモです。上述しましたが、「AIモデルの軽量化」は注目されており、当社も力を入れている技術になります。この「AIモデルの軽量化」の効果をわかりやすくお伝えするデモがありませんでしたので、オリジナルモデルとOKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS(Pruning Channels with Attention Statistics)」で軽量化を行ったAIモデルでの動作の“差”を体感いただきました。“差”を感じていただくには、やはり比較です。ということで、同じ構成のものを2つ並べ、AIモデルのみを変えました。下の写真の構成で、モニター(左):オリジナルAIモデル、モニター(右):軽量化AIモデルです。

「年齢推定AI」 デモ構成

ここで、AIモデルの軽量化のイメージを図示します。
PCASは、モデルプルーニング技術の一種で、AIモデル内に存在する不必要な演算(ニューロン)を特定・削減します。小型モデルの挿入・最適化に基づいて、軽量化対象の各畳み込みレイヤーを含むニューロンの重要度の推定、および削減を行うことで、認識精度を最大限維持しつつ、効果的にモデルを軽量化します。その結果、推論処理の高速化 と メモリー使用量/消費電力の低減 を実現します。

AIモデル軽量化「PCAS」のイメージ
AIモデル軽量化「PCAS」のイメージ

比較するAIモデルとして、「年齢推定」を行うモデルで検証することしました。「年齢推定」を行うにはどうすれば良いでしょう?今回は、“顔”から“年齢を推定”することとしました。そうです。人物の“顔”であることを検知するAIと、その“顔”から“年齢を推定”するAIの2つのAIが必要なのです。この2種類のAIモデルを、一つの「Kria™ K26 SoM」に実装する必要があるのです。
AI推論部の内容を整理すると、下記のようになります。

  • 入力:USBカメラから映像を取得
  • 処理:人物の年齢を推定するために、2つのAI推論を行っています。(今回、年齢の推定としては「顔」で判別)
    ①顔検知AI:映像データから、「人物の顔」であることを判別するAIモデル
    ②年齢分類AI:その「顔」データから、人物の「年齢」を分類するAIモデル
    • 海外の方々のデータで学習を実施。(結果、日本人はやや若く判別される傾向になっています)
  • 出力:前記処理を受けて、顔部分に年齢を表示(モニターに出力)

<結果>

モニター(左):オリジナルAIモデル、モニター(右):軽量化AIモデル
「年齢推定」する数を増やし、処理負荷を上げると、その差は歴然です!軽量化モデルは動きに追従できていますが、オリジナルは遅延が発生しました。

デモ2:じゃんけんAI 「わたし絶対負けません!」

6月に開催された「ものづくりワールド」でお披露目した「じゃんけんAI」。お客様と「じゃんけん」勝負するシンプルなデモです。
お客様が出した手(「グー、チョキ、パー」)をAI推論し、ロボットハンドが必ず勝ちます!(笑)
今回は、ROS2(Robot Operating System 2)にて制御系を構築しました。ROS2はロボット開発のプラットフォームでロボットを動かすためのライブラリが用意されています。応答性が向上する効果も確認できました。
また、同じデモですが、Kria™ K26 SOM、Kria™ K24 SOMの2種類のSOM(System On Module)を並べて展示しました。Kria™ K24 SOMは、23年9月にラインナップされた最新製品(AMD社)です。当社は、AMDの「Premier Solution Partner」に認定されており、この最新製品をいち早く入手し、実装いたしました。

「じゃんけんAI」 展示状況
「じゃんけんAI」 展示状況

<参考>

Kria™ K26 SOM/Kria™ K24 SOM サイズ比較
Kria™ K26 SOM/Kria™ K24 SOM サイズ比較

Kria™ K26 SOMの特徴

  • ビジョンAIアプリケーション向け
  • クレジットカード程度の小型サイズ (77 mm x 60 mm x 11 mm)

Kria™ K24 SOMの特徴

  • モーター制御や DSP アプリケーション向け
  • クレジットカードの半分程度の小型サイズ (60 mm x 42 mm x 11 mm)
  • Kria™ K26 SOMと互換性あり

ここからは、Kria K260版でのデモ形態でご紹介いたします。
デモの構成は、下記の写真に示すように、主要アイテムは、USBカメラ、ロボットハンド、そしてAIエッジ向けのデバイス「K26 SoM(AMD製)」だけです。モニターはAI推論の状況をお見せするためのものです。

「じゃんけんAI」 KR260版 デモ構成
「じゃんけんAI」 KR260版 デモ構成

実際に見ていただいたほうがイメージ掴めると思いますので、是非動画をご覧ください。
(40秒弱の動画です。※動画は当日のものではありません)

ご覧いただけたでしょうか?デモの内容をもう少しご説明します。

  • 入力:お客様にUSBカメラの前で、「グー、チョキ、パー」を出していただきます。
  • 処理:AIエッジ向け「Kria K26 SoM(AMD社製)」にて、入力した前記画像の「ハンドサイン分類」を実行
  • 出力:前記処理を受けて、下記2つの出力を出しています。

出力1:「ハンドサイン分類」した結果をモニターに出力。
⇒お客様が出した手(「グー、チョキ、パー」)をAI推論、つまりAIで予想した結果を表示します。

出力2:「ハンドサイン分類」した結果から、お客様に勝てるよう「ロボットハンド」を動かします。
「KR260」にてPWM制御を行い、「ロボットアーム」のサーボモータをコントロールします。
⇒下記例では、映像入力が「グー」なので、勝つために「ロボットハンド」を「パー」の形にします。

デモ構成

デモのポイント

「AIでロボットハンド動かすデモなんてあるじゃん」と思われた方も多いと思います。
確かにそうなのですが、2点ほどポイントがございます。
今回「エッジ搭載を想定した軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をOKIアイディエスで開発」したということが当社としては初でした。学習用に下記のようなグー・チョキ・パーの画像を各200枚作成し、AI学習を社内サーバで実行。AIモデルの推論速度評価では、1127FPSを記録しました。(※本結果はK26SoMでの結果です
 ※FPS(Frames per second):フレームレート。1秒間に表示される画像(フレーム)数
つまり、1枚あたり1ms以下(=1/1127)でAI推論が終わるほどのレイテンシ(遅延)が実現できています。“エッジ搭載“というキーワードに対し納得性が出てくる数字と思っております。

学習データの例
学習データの例

もう1点は、前述もしましたが、AI推論結果の出力として“モーション系”のデモ開発は、当社としては初でした。今回のデモをご覧いただき、「AI推論の結果を使って、何かを動かしたい」のイメージ、アイディアの一助になってくだされば幸いです。

なぜ、エッジ搭載を想定した軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を開発してみたの?

デモのポイントで記載した「エッジ搭載を想定した軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の開発」を、なぜ行ったのでしょうか?私たちが得意とするプロセスは、下に示す「AI開発を含めた商品開発フロー」における、「FPGA/SoCへの実装」です。その上流の工程には「AIモデル開発」があります。この「AIモデル開発」のフロー、プロセスを熟知する必要があると考えたためです。
プロセスを理解することによって、AIモデルのFPGA/SoCへの実装を、より最適に行うことができると考えています。FPGA/SoC への実装においては、FPGA/SoC固有の制限や制約がある場合があります。FPGA/SoC設計の勘所を持つ技術者が、AIモデルの開発段階で参画することにより、さらに効率的な開発を進めることが可能になります。

AI開発は、各プロセスに特化した業態でサービス展開されているため、システムトータルでの課題を把握し、適切にAIの組込みや提案ができる知識、技術を持ったインテグレーターが求められています。AIモデル開発のプロセスにおいては、各プロセスに特化した業態でサービスを展開されている企業が多くあります。当社は、AIパートナーシップというような形で、各社と協業形態もとりながら、お客様の製品化を見据えた形で、「AI搭載機器の商品開発」をサポートしていきたいと考えております。

OKIアイディエスが考えるAI開発を含めた商品開発フロー
OKIアイディエスが考えるAI開発を含めた商品開発フロー

「AIを搭載した商品を開発したいけど、どう進めて良いかわからない」という方、もちろん既に検討されている皆さまも、ご検討の際には、当社の設計・開発サービスの利用をご検討いただければ幸いです。

最後に・・・

当社は設計・受託会社です。今回ご覧いただいたデモの内容をパッケージ化して販売等を行っているわけではございません。お客様の「こんなAIを搭載した商品を開発したい」、「AIを使ってみたいんだよなぁ」などのご要望の具現化のお手伝いをさせていただいております。お気軽にご相談ください。

ご来場ありがとうございました
ご来場ありがとうございました

本展示、デモに関するご質問、ご相談ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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